革専門クリーニング

革を洗うにはまず、その革の状態を調べることが大事です。水洗いをするか、それともドライクリーニングにするか、その判断には経験が必要となります。カビなどが発生している場合は水洗いクリーニング、年季が入って革に油分がなくなっている革にはドライクリーニングと、様々な靴を見て、補修を行ってきた経験が活かされます。

水洗いクリーニング

臭いが気になるもの、カビや水溶性の汚れ等が付着した革ジャンや、オイルドレザーなどのドライクリーニングでは色合いの変化が出る可能性の大きい革質については、水洗いクリーニングが適しています。水洗いクリーニングは洗いと栄養補給が大きく2段階に分かれるのが特徴的なクリーニング方法です。

前処理

ポケット内などに溜まった糸くずや埃はエアブラシを用いて事前に除去しておきます。カビや泥汚れ等は水洗いに入る前に水拭きや洗いで事前に除去します。

工程
1

水洗い

数種類のブラシやスポンジ等を使い分け、ステッチやファスナー、シャーリング等の細かい所まで手作業で洗います。除去力の異なる洗剤の使用とブラッシングの力加減は、革の状態と汚れの種類を見極め職人が判断しながらの作業となる為、非常に繊細な作業です。手洗い後、洗濯槽内で短時間の脱液を行う事で透明だった洗濯槽内の溶液は茶色く変色し、革からカビ臭さが消えます。

工程
2

栄養補給

専用コンディショナーの溶剤に漬け込み栄養補給を行います。漬け込み時間は色合いや革質、状態により職人が判断致します。個人のお手入れでは革の表面にオイルを塗布するに留まるものですが、表裏から栄養分をじっくり浸透させる事で保湿成分を充填する事ができます。

工程
3

乾燥

乾燥時の型崩れを防ぐ為、しっかりと形を整えてから乾燥作業へ。型崩れを防ぐ干し方にもノウハウがあります。製品によって乾燥に要する時間も違います。自然乾燥を十分に行います。

工程
4

ドライクリーニング

ドライクリーニングはオイルなどの油性の汚れの除去に好適であると同時に、革へ水分が入り込むことによる革伸びや、水分を含んだ自重による破損の恐れが少ない為、ムートンや革の劣化が進んでいるビンテージジャケットなどのデリケートな革質に適しています。汚れ落としと栄養補給が同時に行われるのが特徴的な洗い方です。